以前からやってみたいと思っていた『腕時計のバンドの研磨 ポリッシュ』を自宅でやってみました。本日はその紹介になります。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ)してみました
昨年SEIKOさんのランドマスター SBDW005を中古で安価に購入をしたのですが、まあ安価だったのには訳があり酷い状態でした苦笑
本体部分は割かし綺麗なんですが、チタンのバンドが擦り傷だらけと言う。
全体に渡り傷だらけとなっています。
新品のバンドの購入も考えたのですが、SBDW005は生産完了品の為バンドが受注生産で納期に時間がかかり、かつ4万5千円近くと中々高額です。
研磨依頼に出すと大体どこの業者さんでも2万円くらいかかりそうであったので自分で研磨をする事にしました。
まずは腕時計の分解 耐水ペーパーで研磨
パーツ毎に分解をします。耐水ペーパーを用意し、600番手 800番手でゆっくりと削ってみました。
最初の状態からは綺麗になり改善しましたが、耐水ペーパーでは限界がありどうしても落とし切れない汚れ、傷がまだ残っています。
なので今回はルーターを購入したので機械を使いどの位綺麗になるか試してみます。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 用意した道具
1.TACKLIFE タックライフ ミニルーター RTD37AC
Amazonで評価の高かった、TACKLIFE タックライフ ミニルーター RTD37AC(5,699円)を1台購入しました。セットでこの価格であればかなり安価な部類かと思います。
タックライフのRTD37ACの詳細なレビューはこちらから。
2.バフ用のビットルーター
今回の研磨作業はバフを多用するので、交換用ビットルーターを追加で購入しました。その数60本。Amazonで1,000円位なので軸がセットされた物を購入しておきましょう。
先端交換タイプのフェルトだけの物は、空回りし作業が進みにくいのでオススメしません。
3.手袋 マスキングテープ スコッチブライト工業用パッド
自宅近くの工具が売っている専門店で、安心と安定と信頼の3M製品を購入して来ました。
作業用の手袋コンフォートグリップグローブ462円、マスキングテープ9mmが110円、スコッチブライト工業用パッドが165円となっています。
工業用パッドの7447mp(♯320相当)と言う物が、『ヘアライン仕上げ』には向く様です。
4.コンパウンド各種 ピカール ビニール手袋
自宅に、金属パーツを磨く用にHoltsのコンパウンドセット、ピカール、作業用のビニール手袋があったので今回これも使用します。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 作業開始
過去にギターパーツの研磨(軽い磨き)、ギター塗装仕上げ研磨と言うのは行った事はあったのですが、がっつり研磨 ポリッシュと言うのは初めてなので、YouTubeで研磨 ポリッシュ動画を沢山みました笑
腕時計のバンドを研磨 (ポリッシュ)全体の流れ
研磨作業の簡単な流れですが、
1.表面の傷を取り綺麗に整える
2.ヘアラインを付ける
3.鏡面仕上げを行う
4.バンドの洗浄完成
上記の4工程になっています。まずは、表面の傷取りからスタートです。
細かい作業になるのでミニルーター RTD37ACに、フレックスシャフトを装着し作業を進めて行きます。歯医者さんのドリルみたいで凄く扱いやすいです。
フレックスシャフトにバフをセット。パーツの箇所に合わせ大きさを変えると作業を進めやすかったです。
最初にピカールを塗り、バフで研磨。(ピカールは液体タイプではなく、チューブタイプのペースト状の物を利用)
磨くとあっと言う間に真っ黒に。ルーターの回転数ですが、10,000RPMで問題が無かったです。あまり強く押し付けない様にし、ゆっくり上から下へと同一方向に数回に分けて研磨をします。
作業はかなり汚れるので手袋着用、新聞紙などをひいて行いましょう。ルーターの回転時に溶剤が結構はね、顔に付着もするのでメガネもあるとベターです。メガネや顔が凄い汚れました笑
あと、ルーターは10,000RPMでも結構な回転音がするので周囲に迷惑がかからない様に作業を進めましょう。夜間だと音が響くので難しいかと思います。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) ヘアライン仕上げ
ピカールを使った研磨で大方傷が取れたら、ヘアライン仕上げへ。
スコッチブライト工業用パッドの7447mpを用意。1枚丸々だと大きいと思ったので今回は半分にカットをしました。
パーツを手に持ち、パッドに押し付け上から下へゆっくりと動かします。
必ず同じ方向に動かして下さい。
左:研磨した物にヘアラインを付けた物 右:研磨だけした物
綺麗にヘアラインが付きました。この時に感じたのは、工業用パッドに少し力をかけ押し付けて動かすと言う事でしたね。力を付けて動かす事により綺麗にヘアラインが入ります。
間違っても、往復をさせたり、左右に動かしたりはしないように。
必ず上から下と同じ方向に動かして下さい。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 最難関 鏡面ライン仕上げ
そして今回の作業の最難関であると思われる、鏡面ライン仕上げに入ります。
ヘアラインを付けて鏡面をするのか、鏡面をしてからマスキングをしヘアラインを入れるのか?の順番に迷ったのですが、取り合えず今回はこれで行きます。
元のパーツを見ても分かりますが、真ん中のコマの両脇に鏡面仕上げのラインが2本入っているんですね。何とかこれも今回再現を目指してみます。
ヘアライン仕上げが終わったパーツにマスキングテープを施します。事前にバンドの幅を測っていたので、今回は9mmのテープを利用。
この貼り付けが意外に難しく10分位かかりました。神経を使うので、肩が凄くこります笑
コンパウンドの『細目』『極細』を用意し、少量づつ塗り順番に研磨をしていきます。
研磨をする幅が狭い為、凄く難しいです。研磨を繰り返すとマスキングテープがめくり上がってくるなどもあり作業が難航します。
あと、中々鏡面に仕上がってくれません。微妙な加減と言うんでしょうか、靴磨きの鏡面と一緒で経験と勘がいる作業だなと痛感。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 洗浄
これぐらいでいいのかな?と言う所までいったので、マスキングテープをはがし、はみ出た部分の細かな微調整をしバンド一式を超音波洗浄機で綺麗にします。
超音波洗浄機は以前に記載をした、CITIZEN SW1500と言う物を使っています。自宅に1台あると何にでも使え便利ですよ。
電源をオンにした瞬間に物凄い勢いで、汚れが浮き出て来ます。見ていると凄く気持ちがいいです笑
5分後に洗浄完了。ここまで水が濁りました。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 一応完成
洗浄後、乾燥をさせこの様な状態にバンドの研磨が仕上がりました。
Before
After
全体的にツヤが出て綺麗になっています。
バックル Before
バックル After
バックルは形状がシンプルで作業がしやすく、鏡面などもする必要が無かったので今回1番綺麗に仕上がったかなと思っています。
弓カン Before
弓カン After
時計本体とバンドを接合する弓カンです。パーツが小さく且つ曲面だったので難しかったですね。
最初の傷は無くなったのでまあ良かったのかなと。鏡面ラインの輝きがまだ足りないですね…涙
バンド Before
バンド After
今回1番大変だったバンド本体部分。曲面が多い、長いと本当に大変でした。
鏡面仕上げは本当はもっと輝かせたかったのですが、自分の技量ではこれが限界かなと…。当初の目的であった目立つ擦り傷は無くせたので今回は良しとします。
自宅で腕時計のバンドを研磨(ポリッシュ) 感想
休日の朝9時から開始し17時近くまで約8時間程かかりましたが何とか自宅での研磨 ポリッシュ作業が完成しました。
YouTubeで研磨作業の動画を沢山見ていたのですが、見るとやるとじゃ大違い。経験と勘がいる職人技であるなあと痛感、勉強になったのでした。
初めてのバンド研磨でしたが、100点とは言えないまでも64点位にはなるんでは…(び、微妙笑)
注意点としては、
『時間を掛けゆっくりと作業を進める事』
『力まかせにガツガツ進めない事』
でしょうか。ゆっくりとソフトタッチで作業を進めて下さいね笑
力を入れるのはヘアライン仕上げの箇所のみです。細かく、神経を使う作業が多いので肩が本当に凝ります笑 1か所終わる度に適宜休憩を入れて、のんびりと作業を進めましょう。
あと改めて思いましたが、自分の手を動かし作業をすると言うのはとても面白いですね。どんな事でも自分自身で体験、経験をすると言うのは本当に勉強になるなとしみじみ感じました。作業を終えた後に、やり切ったと言う物凄い満足感があります笑
折角ルーターも今回新調したので今後も使ってみたいと思います。
是非皆さんも興味があれば、自宅で腕時計のバンドを研磨 ポリッシュしてみて下さいね。
ランドマスターSBDW005ですが、オーバーホールも完了し、バンドの研磨も終わったので今後も大切に扱って行きたいと思います。自分で研磨をしたと言う事で、凄く愛着が湧きました笑
あと、普段から丁寧に物を扱うと言う意識が重要ですよね笑
ランドマスター SBDW005詳細。
SEIKOのオーバーホール全て。
ドラマ『半沢直樹』内の腕時計紹介記事。
『男はつらいよ』の車寅次郎はSEIKOのダイバーを着けているのか?